2020.12.01

教えて!推進員さんのMYスイッチ

高知県地球温暖化防止活動推進員(以下、推進員)の皆さんに、普段の地域での活動や

推進員になるきっかけとなったエピソードなどをお伺いします。

 

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今回は学生推進員の三木皐輔(みき こうすけ)さん(以下、親しみを込めて「三木くん」)を紹介します。

三木くんは、高知大学地域協働学部4年生。2019年に愛媛県で開催された大学生対象の温暖化防止活動研修「四国エコサミット」に参加して、そこから学生推進員として活動をしてくれています。

「エコサミットでは、各県のエコ活動の報告を聞いたり、道後温泉の町をフィールドにエコなものを探すというイベントなどに参加したりして楽しかったです」という三木くん。まだ推進員の制度や役割がどういうものなのかわからず、手探りで活動してきた1年間の正直な気持ちをお話ししてもらいました。

  • どんなに一緒にやろうと言っても耳を貸さない人もいる

地域協働学部は土日関係なく、とにかく地域に飛び込んでイベントを一緒にやるんで、地域協働学部は文系でも理系でもなく「体育会系だ」と言われます(笑)。私はもっぱら日曜市のサポートをしていました。

 

去年は他班の活動ですけど盆祭りを手伝いに行ったり、集落活動センターでの文化祭などを手伝って一緒にやりましたよ。

そういう活動をしている中で、私なりに地域の人と触れ合って思うのは、2割の人はやろうと言っても全く賛同してくれなくて「意地でもやらん」「テコでも動かん」という人がいるということを痛感します。地域で寄り合いを開催しましょうと呼びかけても、こういった人たちは集まりが良くないんです。これは推進員としてエコの活動をしていても同じで、私らがどんなにエコを推進しても、2割の人は「テコでも動かん」のです。私はこういう人に対して、説得できる力をつけたいなぁと思いますね。

 

  • エコと現実の矛盾に悩むことがある

たとえばCO2削減のために電気自動車を勧めるというのがパンフレットなんかにありますよね。でも、実際には電気自動車はまだまだ高価で、一般におすすめしても説得力がないんです。

「そりゃ価格が80万円ぐらいで、走行距離が1000キロ以上あって、簡単に充電できるんだったらみんななんぼでも買う」でしょう。でも、実際はそうではありません。こう言った感じで、エコを推進するための「材料」が現実的にはとても無理ということが多いような気がします。率直に言って、私はその部分にものすごく戸惑いを感じます。

 

  • コロナの流行で環境に思うことも多くなった

温暖化防止の啓発活動で、何を教えたり伝えたりしたらいいのか、新型コロナの流行後、よくわからなくなっているなと感じます。例えば、レジ袋をやめてプラごみを減らそうという反面、コロナでテイクアウトが主流になって、ますますプラスチック製品の需要が高まっていて、そういった矛盾が多くなっているなと思います。だけど、9月に南国市立大篠小学校の出前授業でゴミの分別とリサイクルの授業をして、それはとても教えやすくてホッとしました。

2020年に入って新型コロナウイルスが世界中に蔓延して、みんなステイホームで家で電気を使うようになったし、夏の猛暑にはエアコンをかけるのは命を守ることにつながりましたが、私自身は原発には反対しているので「電気を使え」とは言い難い気持ちを持ってしまうのも正直なところです。

 

  • 大きな単位で活動に取り組んで行きたい

もともと環境には興味はありますが、家庭内で工夫してみましたという取り組みよりも、企業単位であるとか、もっと大きな単位での取り組みが大事だと思っているので、環境の根本的な解決の方に力を入れる方が重要かもしれない、というのが私の意見です。

私は環境活動をするなら、たとえば個人の生活に土足で突っ込んでいくような、ある種無神経な推進のやり方はあまり好きではありません。レジ袋削減などにしても、どうしても個人の道徳心に訴える方法しかないのは、環境問題を大きく捉える上で先が見えにくいと思ってしまうんです。

それよりも大事なのは、最も二酸化炭素を排出している企業に働きかけることだと思うし、私はどちらかというとそういう仕事がしたい。今それが明確に仕事にはならないけど、それによって資金が回るシステムができれば良いなと思います。

 

  • 高知ならではの取り組み方もあるはず

個人的に興味があるのは「熱量」関係ですね。高知だと特に夏場の暑さをエコに利用できないかなということです。太陽光発電が主流ですけど、それだけじゃない熱の利用も考えるべきじゃないかなと。高知は夏も冬も昼間結構晴れている日が多いので、この熱量を蓄えて再利用できればきっと価値があるだろうなと考えたりします。

環境問題はどこも一所懸命取り組んでいるけど、最小でも市町村単位なんですよね。そうすると、エコの家庭部門で考えると、家庭よりは「小学校区単位」で考えた方が良いんじゃないかなぁと私は思うんです。高知なんかは特に集落活動センターがありますし、こういった単位で環境推進をやっていけば、「あの集落が取り組んでいるならうちもやろう」という良い波及効果があるんじゃないかと思ったりしています。

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まだ先が見えないコロナ禍の中、手探りでも、環境を大きく捉えて前を向こうとしている三木くんの気持ちがとても印象的でした。一生懸命考えながら、とても良い言葉を紡ぎ出してくれた三木くんの今後の活動が楽しみです。

三木くんは、高知県地球温暖化防止活動推進センター(以下、センター)と高知県地球温暖化防止県民会議県民部会で出展した地域イベントのほか、こうち環境博2020でも、自転車発電体験やアンケートの担当で頑張ってくれました。現在センターで作っているYouTube動画では、三木くんがナレーションを担当してくれていますので、ぜひご覧ください。