
道路の脇や河川の護岸など、私たちの暮らしを支えるコンクリート製品。普段は意識することの少ない、見えないインフラですが、その現場でも今、大きな変化が起きているそうです。今回訪れたのは、1975(昭和50)年の創業以来、地域の基盤を支え続けてきた四国ブロック工業株式会社。同社ではSDGs宣言をきっかけに、環境配慮型製品の提供に取り組み、脱炭素社会の実現を推進しています。お話をしてくれたのは、代表取締役の伊藤準さんと、工場長代理・山崎教史さん。環境配慮型製品とはどのようなものなのか、製品や環境に対する想いと共にインタビューさせていただきました。

■自然との調和を掲げ、変化していく環境と社会に順応する
御社の主な事業内容を教えてください。
その後、時代の変化とともに、道路や河川、宅地造成といった地域インフラを支えるコンクリート二次製品の製造・販売へと事業を広げてきました。現在は、社会基盤を支える製品づくりを通じて、地域の安全・安心なまちづくりに貢献しています。
製品や施工方法も時代と共に変化しているのでしょうか。
また、現場でコンクリートを打設する方法から、あらかじめ工場で製造するプレキャスト製品へと変わってきました。これにより、工期の短縮や人手不足への対応が可能になっています。

脱炭素社会・循環型社会への貢献として、どのような取り組みをされていますか?
具体的にはどのような技術を導入されたのでしょうか。
そうした中で、愛媛県にある企業より、「高炉スラグ微粉末」という材料を紹介いただいたことが転機になりました。高炉スラグとは、製鉄所の高炉(※2)から出る副産物(水砕スラグ)を乾燥・粉砕した粉末です。これをセメントの一部に置き換えることで、コストを抑えながら環境負荷も低減できると分かり、導入を決めました。
例えば、セメントのCO₂排出量を100と仮定した場合、55%を高炉スラグ微粉末に置き換えることで、セメント由来排出は45%まで減少します。高炉スラグ微粉末は焼成工程がないので、排出量はセメントの約10分の1と言われているんです。これを前提に計算すると、概算で40~50%程度のCO₂削減効果が見込まれます。
※1 フライアッシュ:石炭火力発電所で発電する際に発生する石炭灰のこと
※2 高炉:製鉄所において、鉄鉱石を熱処理して鉄を取り出すための設備のこと

■低炭素製品の利用拡大とさらなる挑戦
導入にあたって苦労した点はありますか。
また、気温などの環境条件によっても品質が変わるため、細かな調整が必要でした。現在ではJIS認定製品(※3)を除き、ほぼすべての製品に低炭素コンクリートを採用しています。
※3 JIS認定製品:国に登録された認証機関による品質管理体制の審査や製品試験における品質が日本産業規格に適合していると認証を受けた製品のこと
低炭素コンクリートの価値をどのように広げていきたいですか。
そこで現在は、行政とも連携しながら、評価制度の中で加点される仕組みづくりに取り組んでいます。例えば、公共工事の発注時に低炭素製品を採用することで評価が上がるようになれば、発注者にとっても選ぶ動機になります。実際に、高知県コンクリート製品工業組合を通じて県へ直接働きかけを行い、そうした仕組みづくりを進めてきました。企業単体では難しい部分もありますが、業界として動くことで、少しずつ流れは変わってきていると感じています。
こうした制度面での後押しが整ってくれば、無理に広げようとしなくても、現場の中で自然と選ばれていくようになるはずです。結果として、それが低炭素化の普及につながっていくと考えています。

これからの展望についてお聞かせください。
また、新たな挑戦として、リサイクル素材の活用にも力を入れています。例えば、鋳物(※4)製造の過程で発生する廃棄物をコンクリートの骨材として再利用できないか、企業や大学と連携しながら研究を進めています。 コストや設備、行政の認可といった課題はありますが、廃棄物を資源として活用することで、循環型社会の実現に貢献したいと考えています。
無理のない形で継続できる取り組みこそが重要であり、中小企業でも実践できる脱炭素のあり方を模索しながら、今後も挑戦を続けていきます。
※4 鋳物:鉄やアルミニウムなどの金属を溶かして型に流し込み、冷やして固めることで製造される製品のこと

まとめ
コンクリートは、社会インフラに欠かせない存在である一方、その製造過程における環境負荷が課題とされてきた分野でもあります。そうした中で四国ブロック工業株式会社は、既存の技術を見直し、新たな素材を取り入れることで、現実的かつ持続可能な解決策を模索していました。
印象的だったのは、「無理なく続けられること」を重視されている点です。特別な取り組みとしてではなく、日々の製造の延長線上で脱炭素を実現していく姿勢は、多くの中小企業にとっても参考になるのではないでしょうか。
さらに現在は、廃棄物の再資源化といった新たな循環の取り組みも進められています。地域企業や研究機関と連携しながら広がるその挑戦は、単なる製品開発にとどまらず、地域全体の未来づくりへとつながっていく可能性を感じました。普段は目に触れることの少ないインフラの分野から、着実に進められている変化。その一つひとつの積み重ねが、これからの社会を支えていくのだと感じました。