2026.03.31

地域インフラを支える四国ブロック工業が新しいコンクリートで挑む脱炭素

icon
当社は1975(昭和50)年12月に創業しました。創業当初は建築用のブロックを中心に製造しており、土砂崩れを防ぐために傾斜をつけて積み上げる、いわゆる間知(けんち)ブロックと呼ばれる製品が主力でした。
その後、時代の変化とともに、道路や河川、宅地造成といった地域インフラを支えるコンクリート二次製品の製造・販売へと事業を広げてきました。現在は、社会基盤を支える製品づくりを通じて、地域の安全・安心なまちづくりに貢献しています。
icon
大きく変わっています。昔は小型のブロックを人の手で積んでいく施工が主流でしたが、高齢化や作業負担の問題もあり、現在は1㎡単位の大型ブロックへと移行しています。
また、現場でコンクリートを打設する方法から、あらかじめ工場で製造するプレキャスト製品へと変わってきました。これにより、工期の短縮や人手不足への対応が可能になっています。
icon
取り組みのきっかけは、2023(令和5)年10月に行ったSDGs宣言です。「自然と調和する」という基本方針のもと、環境配慮型製品の提供や地域社会への貢献、脱炭素などに取り組むことを掲げました。その中で、低炭素コンクリートの開発に着手しました。
icon
具体的には、リサイクル製品の活用と低炭素コンクリート製品の製造・販売です。もともとフライアッシュ(※1)を使った取り組みは検討していたのですが、発注の仕組みやコスト面で課題があり、なかなか実用化に至りませんでした。
そうした中で、愛媛県にある企業より、「高炉スラグ微粉末」という材料を紹介いただいたことが転機になりました。高炉スラグとは、製鉄所の高炉(※2)から出る副産物(水砕スラグ)を乾燥・粉砕した粉末です。これをセメントの一部に置き換えることで、コストを抑えながら環境負荷も低減できると分かり、導入を決めました。
例えば、セメントのCO₂排出量を100と仮定した場合、55%を高炉スラグ微粉末に置き換えることで、セメント由来排出は45%まで減少します。高炉スラグ微粉末は焼成工程がないので、排出量はセメントの約10分の1と言われているんです。これを前提に計算すると、概算で40~50%程度のCO₂削減効果が見込まれます。
icon
一番苦労したのは「初期強度」です。コンクリート製品は、翌日には型から外す必要がありますが、高炉スラグを使うと十分な強度が出るまでの時間が長くなる傾向があります。そのため、配合の調整にかなり時間を要しました。試験と検証を繰り返し、実用化までに1年半ほどかかりました。
また、気温などの環境条件によっても品質が変わるため、細かな調整が必要でした。現在ではJIS認定製品(※3)を除き、ほぼすべての製品に低炭素コンクリートを採用しています。
icon
単に「環境に良い」というだけでは、なかなか普及にはつながりません。実際に製品を採用する発注者にとって、明確なメリットがあることが重要だと考えています。これまでは、「低炭素コンクリートですよ」と説明しても、それだけで採用が進むわけではありませんでした。コストや品質が従来と大きく変わらない中で、選ぶ理由が見えにくかったのだと思います。
そこで現在は、行政とも連携しながら、評価制度の中で加点される仕組みづくりに取り組んでいます。例えば、公共工事の発注時に低炭素製品を採用することで評価が上がるようになれば、発注者にとっても選ぶ動機になります。実際に、高知県コンクリート製品工業組合を通じて県へ直接働きかけを行い、そうした仕組みづくりを進めてきました。企業単体では難しい部分もありますが、業界として動くことで、少しずつ流れは変わってきていると感じています。

こうした制度面での後押しが整ってくれば、無理に広げようとしなくても、現場の中で自然と選ばれていくようになるはずです。結果として、それが低炭素化の普及につながっていくと考えています。
icon
今後は、JIS認定製品への対応を進めながら、低炭素コンクリートのさらなる普及を目指します。業界としても、2030(令和12)年に向けた目標が掲げられており、県内の企業や組合と連携しながら取り組みを広げていく方針です。

また、新たな挑戦として、リサイクル素材の活用にも力を入れています。例えば、鋳物(※4)製造の過程で発生する廃棄物をコンクリートの骨材として再利用できないか、企業や大学と連携しながら研究を進めています。 コストや設備、行政の認可といった課題はありますが、廃棄物を資源として活用することで、循環型社会の実現に貢献したいと考えています。

無理のない形で継続できる取り組みこそが重要であり、中小企業でも実践できる脱炭素のあり方を模索しながら、今後も挑戦を続けていきます。