お話をしてくれた方
和井 啓司さん
ワールドビジネスシスコム株式会社 取締役・管理部部長
吉本 きなり
ワールドビジネスシスコム株式会社 管理部管理課
高知県のシステム会社「ワールドビジネスシスコム」
近年は仕事の連絡や打ち合わせ、暮らしの中の様々な手続きなども、オンライン上でスムーズにおこなえるようになってきました。そんな便利なシステムの開発などを手がけているのが「ワールドビジネスシスコム株式会社」です。
日々の業務において、自然環境と直接的な関わりはありませんが、社内ではさまざまな脱炭素の取組がおこなわれています。取締役・和井啓司さんと、管理部・吉本きなりさんにお話を伺いました。
️システム会社で脱炭素の取組は難しい?
- ワールドビジネスシスコム株式会社さんはどういったお仕事をしている会社ですか?
-
当社は、主に高知県内の自治体、医療機関、民間企業などから依頼を受けて、システム開発や、運用保守をおこなっている会社です。
また、事業の一つとして自社で連絡帳システムの開発もおこなっており、高知県民の皆さまの中には託児所や放課後児童クラブなどで利用されている方もいらっしゃると思います。
- 日常のなかで身近なシステムをつくったり守ったりしている会社なんですね。では、脱炭素の取組を始めたきっかけを教えてください。
- 私たちがおこなっている仕事は、システムをつくりだして使っていただくもので、電力などエネルギーを消費する側面が強いと思います。将来にわたって事業を継続していく上で、「このまま消費する“だけ”の提案を続けていて良いのだろうか」という思いがあり、社会の皆さまも、当社で働く社員も、全員が笑顔になれる未来につながる活動をしようと、SDGsへの取組を宣言しました。そして、2022年年11月4日に「こうちSDGs推進企業」への登録が認定されました。そのSDGsの取組の一つに脱炭素に向けた取組があります。
- 素晴らしい考え方ですね!
-
ただ、「脱炭素といっても自社に何ができるのか?」と悩ましくなるのがシステム系の業界全体の実情です。先ほども述べた通り、私たちが業務で使ったり、お客様へ導入をご支援したりしているパソコン機器やサーバーなどは、動かすために電力が必要です。再生可能エネルギー(※1)を活用する方法はありますが、それはシステム系会社の対応業務ではありません。
ですので、小さな取組になってしまうのですが、社員一人ひとりが脱炭素につながる働き方ができるように取り組んでいます。
※1 石油や石炭といった有限な資源である化石燃料とは異なり、自然の活動によってエネルギー源が絶えず再生、供給され、利用時にCO2(二酸化炭素)が増加しないエネルギー源
できることが限られているからこそ視野を広げて取り組む
- 具体的にどのような取組をおこなっていますか?
-
まずは、業務のペーパーレス化です。これまでは、紙に印刷してから提出や確認をしていた業務を、電子データやオンラインで確認ができるようにしました。約1年間で使用料が50%減少し、現在も減少傾向にあります。
また、ペーパーレスによって業務の効率化にも繋がり、残業が減少しました。結果として、照明などオフィスの電気設備の使用時間が短くなりました。
他にも、出張の際はできるだけ公共交通機関を利用するように呼びかけをしたり、社用車のハイブリット車への切り替えも進めている段階です。
- それと、社員一人ひとりが環境意識を持ち続けられるように、社内向けの周知活動もおこなっています。会社が取り組んでいるSDGsや脱炭素の活動について、グループウェア(※2)を活用して報告をしています。また、年に一度開催している、社員を一堂に会す研修会でも周知をおこない、社員として「具体的にどういう行動をしてほしいか」というメッセージも伝えるようにしています。
※2 企業などの組織に所属する人々のコミュニケーションを円滑にするためのITツール
-
まずは、社員さん一人ひとりの意識と行動から。やがてそれが会社全体のものとなり、社会に寄与していくものになるかもしれませんね。
では、最後に今後の展望を教えてください。
-
システム開発という業務において、お客様から「環境に配慮したシステムがつくれないか?」というご相談を受ける機会も少しずつ増えています。色々な難しさはありますが、お客様にとっても環境にとっても良いものをご提案できるように、会社として努力を続けていきたいと思います。
また、高知県グリーンボンド(※3)の活用も検討しております。業務でできることが限られているからこそ、視野を広げて取り組めそうなものを見つけ、積極的に取り入れていく姿勢を大事にしたいと思います。
※3 環境分野への取組に特化した資金を調達するために発行される債券のこと。高知県では2022年3月に「高知県脱炭素アクションプラン」を策定し、「2050年のカーボンニュートラル実現」と「経済と環境の好循環」の創出を目指す取組を推進している。その一環として、四国の自治体としては唯一となるグリーンボンドを発行してる。 https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/greenbond_kochi/
業種によっては、脱炭素につながる取組がなかなか見つからないという会社もあると思いますが、今回、ワールドビジネスシスコム株式会社さんのお話を伺い、成果の大小に関わらず「できることからやってみよう」という姿勢でいることの大切さを実感しました。