2025.03.31

産業廃棄物を少しでも減らしたい!
捨てられるはずの石炭灰に新しい命を吹き込み、循環型社会に貢献する企業

お話をしてくれた方

宮地 正弘さん

東洋電化工業株式会社
資源再生部 資源再生課

山本 法昭さん

東洋電化工業株式会社
資源再生部 資源再生課

産業廃棄物に新たな価値を見出す

石炭を粉砕してボイラーで燃やし、発生した蒸気でタービン(※1)を回して発電をおこなう石炭火力発電。その際に発生するフライアッシュ(※2)と言われる石炭灰は、そのままだと産業廃棄物として最終処分することになりますが、フライアッシュを主原料にして、リサイクルすれば新しい資源として活用できるそうです。

今回は「フライアッシュ」を使った灰テックビーズを製造する東洋電化工業株式会社にお邪魔して、資源再生部 資源再生課・宮地 正弘さんと、山本 法昭さんから資源再生についてお話を伺いました。

※1 水や蒸気、ガスなどの流体のエネルギーを有用な動力に変換する回転式の原動機のこと
※2 石炭を燃料として用いる火力発電所で燃焼時に生成される灰の一種

️日本のものづくりを支えてきた老舗中間原料メーカー

まずは東洋電化工業さんの事業内容を教えてください。
当社は1919年に創業した中間原料メーカーです。私たちの仕事は、製品の原料となる特殊な素材を製造し、建設業界に供給することです。現在、大きく分けて4つの事業を展開しています。

① 特殊アロイ事業
この事業では、鋳物(※3)用の強度を高めるための添加剤を自動車部品メーカーや建設機器メーカー等に製造・販売しています(マンホール、車のエンジン、造船用の鋼材等)。

② 商事事業
この事業では、フェロシリコン(※4)という素材を海外から輸入し、日本国内の鉄鋼メーカーへ販売しております。この素材は全ての鉄(鋼)をつくるために必要となる素材です。

③ 化成品事業
さまざまな化学製品を扱っており、畜産向けに配合飼料の原料や混合飼料となるリン酸カルシウム、タイヤ・ゴム・製紙・食品などに使用される添加剤の炭酸カルシウムがあります。他にも、アセチレンガスの原料や鉄の不純物を取り除く脱硫剤として使用されるカーバイド(※5)も取り扱っています。

④ 資源再生事業
限りある資源の有効活用を図るために誕生した事業です。この事業では、資源を無駄にせずリサイクルして活用する社会の実現である「循環型社会」を目指しています。
具体的な取組は、半導体の製造に必要な合金鉄粉砕品や造成工事で発生する木屑のリサイクル、そして今回紹介する「灰テックビーズ」の製造です。

※3 鉄やアルミニウムなどの金属を溶かして型に流し込み、冷やして固めることで製造される製品
マンホールの蓋やエンジン部品などに使用されている
※4 ケイ素(シリコン)と鉄を組み合わせた合金
鉄を製造する過程で重要な役割を果たしており、特に鋼の強度を高めるための添加剤として使用されている
※5 炭化物のことを指し、石灰石と炭素を高温で加熱して作られる化学物質

石炭灰を再利用して生まれた人工地盤材料「灰テックビーズ」とは?

石炭火力発電所で発電する際に、フライアッシュと呼ばれる石炭灰が発生します。昔は産業廃棄物として最終処分されていましたが、現在はこのフライアッシュを主原料にした人工的な地盤材料「灰テックビーズ」を製造しています。灰テックビーズの製造方法は、フライアッシュに水・消石灰・セメントを加えて、特殊ミキサーで泥練・造粒・養生しています。
フライアッシュをリサイクルすることで、循環型の社会づくりに貢献しています。
灰テックビーズはどのような性質で、どういったものに使われていますか?
砂と近い球形・粗粒状の軽量な粒状体で、一般の砂質土と同じ性質を持っています。
灰テックビーズは主に盛土や埋め戻し用として使用されていますが、吸水性も高いので土壌の改質材としても使用されています。また、自然界の土と比べて植物の生育に必要な窒素・リン・カリウムをほとんど含有していないので、防草用としても使用されています。

「灰テックビーズ」は、私たちの暮らしの中でどのように活躍している?

草が生えにくい・発芽しにくいという性質を利用して、太陽光発電所の下に防草用として敷設しました。
また、整地や掘削の際に現場で発生する建設残土の再利用が出来ない時に、代わりの土として、工事の埋め戻しに使用したり、池の土壌改質にも使用したりしています。当社の敷地内に有事の際の避難場所として8.5mの高台を設けていますが、これにも灰テックビーズを使用しています。
私たちが気づいていないだけで、さまざまな場所で使われているんですね。

高知県が認定するリサイクル製品を使うメリットにも注目!

取引先はどのような業界が多いですか?また、反響はありましたか?
現在は、建設業界の民間企業への販売・取引がメインです。実際に使っていただくと、施工性が高く価格が安いと好感触ですね。
灰テックビーズの今後の展望はありますか?
灰テックビーズは、「高知県リサイクル製品等認定制度認定証」を取得しています。環境に配慮した製品であるとPRしながら、より普及できるよう高知県と協力していきたいと考えています。
また、最近ではバイオマス発電所(※6)の灰も受け入れ、再利用できるように許可を取りました。今後は、受け入れ先を増やせるようにしていきたいと思っています。

※6 再生エネルギー発電の一つであり、木屑や燃えるゴミなどから化石資源を除いた再生可能な生物由来の有機性資源を燃料として燃焼し、その際の熱を利用する発電方式を取り入れた施設

最後に、資源再生事業への想いを聞かせてください。
一般的には最終処分するフライアッシュですが、産業廃棄物の再利用に少しでも貢献したいという想いで「灰テックビーズ」の製造をしています。
私たちは、産業廃棄物の中間処理をおこなう際、「100%再利用する」という約束の元、利用できる分のみを受け入れています。そのため、販売先が増えることで当社が受け入れられる量も増やすことができます。今後も、できるだけ多くのフライアッシュをリサイクルできるよう取り組んでいきます。
また、バイオマス発電の灰も有効活用できるよう、開発を進めていきたいと考えています。

本来ならほとんどが処分されている石炭灰が、新しい使命を持って生まれ変わり、私たちの暮らしの中で活躍していることを知りました。
灰テックビーズの利用が増えることで、東洋電化工業株式会社さんのフライアッシュの受け入れがさらに増え、産業廃棄物も減らせるという好循環が生まれることもわかりました。環境保全に繋がる、灰テックビーズの認知度アップを願わずにはいられません。