
お話をしてくれた方

宮地 貴嗣さん
宮地電機株式会社 代表取締役社長
️老舗電機会社が提案する「省エネコンサルティング」とは
今回お話を伺ったのは、宮地電機株式会社の代表取締役社長・宮地貴嗣さんです。

宮地電機株式会社は、環境経営への取組方針を宣言する企業として、高知県地球温暖化防止県民会議事業者部会から「こうち脱炭素経営宣言事業者」に認定されています。太陽光発電や省エネコンサルティングを通じて、エネルギーの適切な使い方を提案し、その改善に取り組んでいます。
今回は、こうした脱炭素に向けた事業の中から、省エネコンサルティング事業を中心にお話をお聞きしました。
- 宮地電機株式会社はどんな企業ですか?
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当社は1945年に創業し、今年でちょうど80年を迎えます。
電線や照明器具、エアコンなど、電機(※1)に関係する材料を仕入れ、電気設備の工事会社へ提供する「電気材料の卸売」を本業としています。
また、そこから派生して、インテリアデザインやエネルギーマネジメントにも取り組んでおり、高知市の大橋通りの「ラ・ヴィータ」では、飲食やウエディングの事業も展開しています。地域の皆さんの生活に密接に関わる事業を幅広く手がけています。
※1 電気の力を利用して動かす機械を意味する
80年の歴史を持つ宮地電機株式会社が描く「脱炭素社会」への貢献
- 「こうち脱炭素経営宣言事業者」に認定されていますが、脱炭素に向けた取組を始めたきっかけは何ですか?
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当社は電気材料の販売を生業としていますが、電気代が高くなってきている世の中で、いかに電気代を下げるのか、さらにいかにエネルギーの使用そのものを削減するかという課題に向き合う必要があると考えました。私たちは、ただ材料を販売するだけではなく、お客様が本当に幸せになるような提案ができる会社でないといけないと考えています。
この数年、私たちは「電気の会社」から「エネルギーの会社」へと移行しており、より効率的で環境に配慮したエネルギー活用を提案できるよう取り組んでいます。
- 脱炭素に向けた取組では、具体的にはどんなことをされていますか?
- 当社は電気と深い関わりを持ってきましたが、エネルギー全体で見ると、電気はその一部に過ぎません。そこで、電気以外のエネルギーも含めて、「いかに省エネルギーを実現するか」、さらに「いかに脱炭素に繋げるか」というノウハウをお客様に幅広く提供する「省エネコンサルティング」という事業を進めています。
️エネルギーの「見える化」で省エネを「儲け」に変えるとは?
- 「省エネコンサルティング」では、どのようなことをおこなっていますか?
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例えば、工場の電気使用を「見える化」しています。工場ではボイラーなど電気以外のエネルギーもたくさん使われているので、いかに少なく、安いエネルギーに置き換えることができるかが重要になっていきます。
あるいは、「この時間はこれを動かすのにこれだけのエネルギーが必要です」、「逆にこの時間は、あんまりエネルギーを使っていないです」など、どんな時にどんなエネルギーを使っているかということを分析しています。これによって、無駄なエネルギーを削減していきます。
- 工場以外にも省エネの提案はおこなわれていますか?
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はい。工場以外にも商業施設やホテル、オフィスなどでも省エネ提案をさせていただいています。
例えば、「人感センサー」を活用して、人がいない場所での照明のON/OFFや、エアコンの無駄を省くなど、ちょっとしたことですが、このような提案をしながらエネルギー削減に繋げるお手伝いをしています。
- 省エネコンサルティングを利用されたお客様からは、どのような反応でしたか?
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省エネ診断により「エネルギーの見える化」をすると、「あ、そこでそんなに無駄があったのか」ということに気付いていただけることが多いです。例えば、「お昼休みには使っていないから電気を消す」といった、日常的によくあることですが、改めてデータとして可視化することで気付きがあるようです。
また、エネルギーの中でも電気を使うか、ガスや重油を使うか、それぞれの特色があります。そのため、エネルギーそれぞれの特色について説明し、ご提案すると「そういう選択があるのか」と驚いていただくこともありますね。
- 省エネコンサルティングで目指していることはありますか?
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私たちがよく言うことは、「儲けに繋がる省エネ」です。
会社の売上や利益を増やすことは、簡単ではありませんが、「経費を下げる」ということは、実はそれほど難しくないんです。経費を下げることで、最終的には利益が増えるということをできたらと考えています。
例えば、売上10億円の会社で営業利益率が3%とすると、光熱費を年間300万円削減できれば1億円の売上を増やしたことに相当します。
エネルギーに関する費用を削減することで、会社の利益が増えるということが実現できれば、お客様にも喜んでいただけると思っています。
- 小さな積み重ねが利益に繋がっていくんですね。
地域に寄り添う宮地電機株式会社が描く持続可能な社会
- 地域に向けて取り組まれていることはありますか?
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当社は四国4県に事業所があり、各市町村の省エネ関連の補助金の情報を担当部署の社員が常に調査しています。省エネに関する新しい補助金が発表されると、該当市町村のお客様に「こんな補助金が出ましたよ。活用しませんか?」とお知らせしています。
お客様から「知らなかった」という声はよく聞きますし、「ちょうど良かった」と言っていただくことも多いです。また、その補助金の申請をするために当社へご相談いただけることもあります。こうした取組でお客様に喜んでいただけると、とても嬉しいですね。

- 最後に、宮地電機株式会社の今後の展望や脱炭素達成に向けた思いをお聞かせください。
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私たちは今後、「電気の会社からエネルギーマネジメントの会社へ」と、引き続き取組を進めてまいります。もちろん、電気はエネルギーの中でも非常に使いやすいエネルギーなので、これからも無くならず、さらに重要なものになっていきます。
その一方で、電気がないと動かない世の中になってきています。地震が起きて停電になった際には、どう安全・安心に暮らすか、あるいは事業を止めないかということもしっかりと考えていかなければなりません。今後は、「自然エネルギー」や「太陽光発電」、「蓄電池」や「蓄電所」なども有効な手段になってくると思っています。
私たちは単なる電気材料の販売をするだけでなく、エネルギー全体のマネジメントやコンサルティングを提供することで、お客様や地域へ貢献していきたいと考えています。
今回の取材を通じて、エネルギー使用量の「見える化」による無駄の削減や地域ごとの補助金情報を活用した提案は、お客様にとって大きなメリットになっていると思いました。特に「儲けに繋がる省エネ」という視点で、エネルギー費用削減を利益増加に結びつけるアプローチは、現実的かつ実践可能な取組なので脱炭素社会に向けてさらに広がってほしいですね。